幕藩体制が終わりを告げ、日本が大きく変わった明治維新。
四国・淡路に暮らす稲田家の人々は明治政府から、北海道・静内への移住を命じられる。
明治4年、第一次移民団546名を乗せた船は、半月の船旅を経て北海道へと辿り着いた。
この船に乗っていた小松原志乃は、すでに先遣隊として静内で開墾を始めていた夫の英明を再会する。
英明を中心に、この地に新たな自分たちの国を作ろうと希望に燃える稲田家の人々。
しかし寒さの厳しい北海道では淡路の作物は育たず、
第二次移民団を乗せた船が難破して多くの死傷者を出し、さらには廃藩置県による武士階級の崩壊など、
多くの試練が彼らを襲う。
失意の中、英明たちは侍の象徴である髷(まげ)を切って、この土地と運命を共にすることを誓い合った。
しかし作物が育たなくては食料も蓄えられない。
英明は最新の農業技術を学ぶため、一人札幌へと旅立つ。
だが志乃と娘の多恵がいくら待ち焦がれても、英明は帰ってこなかった。
志乃と多恵は、英明を探しに札幌を目指すが寒さのために雪中に倒れる。
それから数年後、
雪の中から彼女たちを救ってくれたアメリカ人エドウィン・ダンの指導を受けて、志乃は牧場を営んでいた。
女性二人の生活を、アイヌと暮らす謎の男アシリカは親身になって助ける。
やがて志乃と多恵、アシリカとの間には家族にも似た愛情が芽生えていった。
だがその平和な生活も、政府が志乃に育てた馬を供出する命令を出したことから一転する。
今や馬は、農作業にも欠かせない重要な労働力。
これを召し上げられたら、開墾事業は頓挫してしまう。
志乃を始め旧稲田家の人々の不安が募る中、札幌からある使命をもって英明が帰ってくる。
http://www.kitano-zeronen.jp/